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インタビュー

沖縄県養豚振興協議会会長:我那覇明さん—食肉×育む

今も、昔も、環境にやさしく、経済性にすぐれた豚

豚 との付き合いは長いですよ。物心ついた頃には、家に豚がいましたから。昔はどこの家にも豚の飼育小屋と便所を兼ねたウヮーフール(豚便所)があり、ムヌガリー( 食品残渣)や家族の主食であった芋のかずら、傷ついたり小さすぎて食用にならない芋が豚の餌になっていました。しかも、豚の排泄物は畑の肥料になるんですから、まさに究極のリサイクルですよね。

昔は泡盛を作っている酒屋さんが酒粕を餌にして、よく豚を飼っていました。今もビール粕やビール酵母を与えたりするから、酒粕もいい餌になったんでしょうね。一般では1、2頭を飼っている家庭が多かったんじゃないかな。

我那覇明さんインタビュー(イメージ) 戦前の沖縄で飼われていたのは、一部の白豚を除いて、在来種の黒豚つまりアグーがほとんどでした。肉も脂身もとても美味しい豚なんだけど、体が小さくて、成長が遅く、繁殖力があまりよくない。戦争の被害を受けて、豚の数が壊滅的に減ってしまった戦後、ハワイに住む沖縄系移民から北米で買い付けた豚536頭がプレゼントされたり、復興計画の一環として西洋種の豚が導入されたりして、沖縄では一気に西洋種の豚が増えました。西洋種は体が大きく、成長が早く、繁殖力が優れている。だから、気づいたときには西洋種ばかりで、いつの間にか在来種の豚は見かけなくなっていましたね。

戦後、私が小学校5、6年生になった頃には、自転車とバスを乗り継いで辺野古に出かけ、米軍基地からでる、まだ食べられるような賞味期限ぎりぎりのパンや果物などをもらい、一斗缶に入れて担いで運び、豚の餌にしていました。
最近では、エコロジー(環境配慮)とエコノミー(節約)にフィード(給餌)を合わせた造語でエコフィードと呼ばれていますが、食糧残さを飼料に使う食品循環資源利用飼料が注目されていて、うちの農場でも、賞味期限内なのに返品されたパンを飼料に活用しています。豚というのは、昔も今も変わらず、環境にやさしく、経済的にもすぐれた動物なんですね。

我那覇明さんインタビュー(イメージ) その後、豚の飼育方法も時代とともに進化し、石を敷いた床を木の柵で囲った豚小屋は、ブロック塀にトタン屋根の豚舎になり、今では鉄柵を備えた衛生的な鉄筋コンクリート製になりました。かつてはすすきやカマヤ( 草) などの枯れ草を敷いていた床は、衛生管理のため、一時は水で洗い流すようになりましたが、その汚水が公害となることから、うちの農場では近代的な尿処理施設の導入及び、おがくずを敷き詰め、使用済みのおがくずは堆肥として再利用することで、循環型農業の一部を担う存在となりました。

また戦後、より丈夫で体が大きく、成長が早く、肉質や繁殖力に優れた豚を生み出すために、沖縄の養豚業者は品種改良に心血を注いできました。たとえば、デュロックという品種は赤肉が多く脂が入っていいサシ(霜降り)になる。バークシャーという黒豚は、繊維が細かくて、柔らかい肉質が特長。ランドレースは子数が多く、繁殖力もすぐれている。
これらの各々の長所が生かせるように組み合わせを考えて交配し、飼料や水、育て方や環境にも配慮して、いい豚を生み出す努力を重ねてきたわけです。一時は約30頭にまで激減したアグーも、その旨味成分が見直され、名護市博物館や沖縄県立北部農林高校が中心となって戻し交配を行い、十年の歳月をかけて戦前に近い形質のアグーが復元されました。
今では県内で約800頭のアグーが飼育され、50%以上アグーの血を引くアグーブランド豚は県内9戸の指定生産農場で年間約2万4千頭が出荷されるようになりました。

うちの農場でも、アグーや「やんばる島豚」「やんばるあぐー」の2つの銘柄豚を生産しています。アグーブランド豚は生産農場によって、交配する豚の品種、飼料、環境などが異なりますので、食べ比べて、風味や食感の違いを味わってみるのも面白いと思いますよ。 

デュロック/バークシャー/ランドレース/やんばる島豚/やんばるあぐー

我那覇明さん(イメージ) 沖縄在来種のアグーは、誇るべき沖縄の宝。私の夢は、いつか「世界のあぐー」に育てあげ、沖縄の豚の美味しさを世界中に広めることです。そして、豚とともに歩んできた沖縄伝統の食文化を後世に伝え、世界の人々に味わってもらいたいと願っています。

我那覇明さんプロフィール

沖縄県養豚振興協議会 会長。
沖縄県北部食肉協業組合(名護市食肉センター) 理事長。
農業生産法人 有限会社 我那覇畜産 代表取締役。
琉球在来豚アグー保存会 理事。

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